どのような仕事でも、実際に働いてみると理想と現実のギャップは多かれ少なかれあるものです。特に介護職の場合は、介護をする相手の状態や性格によっても、働きやすさの度合いは大きく左右されます。
実際に高齢者と触れ合う中で理想とのギャップが大きくなり、仕事を辞めたくなってしまう人は多いようです。
本当に辛くなってしまったとき、仕事を辞めることは決して悪いことではありません。むしろ無理して働き続けて、自分の身体を壊してしまう方が問題です。
しかし、毎度同じパターンで転職を繰り返しているのであれば、自分の介護に対する理想を見直した方が良いかもしれません。少しハードルを下げてギャップを埋めてみることで、働きやすさが増す場合もあります。
例えば、介護職の志望動機で「お年寄りが好きだから世話をしたい」というものがあります。この動機自体は素晴らしいことですが、実際に働き始めて「お年寄りが好き」という感覚が壊れてしまうことは珍しい話ではありません。
高齢者も普通の人間です。性格はさまざまで、高齢になったからといって全ての人が人格者になるわけではありません。
上から目線で命令してくる人もいるでしょうし、病気が原因で粗暴なふるまいをする人もいます。
そんな中、「お年寄りが好き」という理由が働く動機になっていれば、そのような人を「好き」になれなかった場合、心の葛藤で苦労することになります。
介護の仕事はそう甘いものではありません。イメージとのギャップに苦しまないためには、「好き」だけではやっていけない現実を知り、ある種ビジネスライクな態度や考えを身に付けることも必要なのです。
残念ながら、介護を学ぶ段階で、このような現実を教えてくれることはほとんどありません。介護の道を長く歩みたいのであれば、夢を見るだけでなく、介護現場の良し悪しを把握することも重要といえるでしょう。